初頭効果と確証バイアス - 初対面で好印象を与えるには
- 2019.10.10
人は相手の全体像を瞬間に捉えて、「この人は親切そう」とか「信頼できそう」「何か嫌な感じ」といった漠然とした印象をつくり上げます。
そして、その印象は時間とともに増幅されることがわかっています。
これを「初頭効果」といいます。
また、人は最初に「この人は親切そうだな」という印象を相手にもつと、その相手が「親切である」ことを確かめるような情報を集めるようになります。
言葉遣いや表情、あるいはちょっとした動作から「ああ、やっぱりこの人は親切で優しい人なのだ」と思い込んでしまうのです。
反対に、最初に「この人は意地悪そうだな」という印象を相手 にもつと、その相手が「不親切である」ことを確かめるような情報を集めるようになります。
仮に相手が親切心で口にした言葉であっても「何か裏があるかもしれない」と考えるようになります。
つまり、人は最初に「この人は親切そうだな」とか「この人は意地悪そうだな」と感じたことを裏付ける情報を集めて、「やっぱり最初に思ったとおりだった」と自分の正しさを確認しようとするのです。
これを「確証バイアス」といいます。
好印象のためには第一印象が大事だということですが、それに関連して「アッシュの印象形成実験」があります。
ポーランドの 心理学者ソロモン・アッシュが1946年に行った実験です。
その実験とは、ある架空の人物に対する印象を次の2つのリストを示して被験者に答えてもらうというものです。
(1) 「知的な、器用な、勤勉な、暖かい、決断力のある、実際 的な、注意深い」
(2) 「知的な、器用な、勤勉な、冷たい、決断力のある、実際 的な、注意深い」
この結果、(1) のほうが好印象だとの回答が多かったそうです。
また、これとは別の2つのリストを示しました。
(1) 「知的な、勤勉な、衝動的な、批判的な、嫉妬深い」
(2) 「嫉妬深い、批判的な、衝動的な、勤勉な、知的な」
この結果では、(1)のように最初に好ましい特性を提示すると 相手に対する印象は好意的なものになり、(2) のように先に悪い特性を提示すると相手に対する印象は悪くなりました。
例えば、こんな逸話があります。
ニクソンとケネディが討論会をした際に、ラジオを聴いていていた人は「ニクソン優勢」と考え、テレビを見ていた人は「ケネディ優勢」と考える傾向があったことがアンケートにより明らかになっています。
明らかにケネディの方が若くて見た目が良いですからね。
いかがでしょうか。
自己紹介、他己紹介をはじめ初対面の相手には最初に自分に関する良い面を提示してみましょう。(ただし、強調しすぎて自慢に聞こえすぎないことに注意)