自分で選択したと思うとより高い価値を感じる
- 2019.11.27
人間の選択の行動特性を検証する、宝くじを材料にした実験があります。
次のような選択肢を用意したとき、どちらが当選しそうかを数十名の被験者に回答してもらうというものです。
(1) 1枚1ドルのくじを自分で決めて、自分で買う。
(2) 既に用意した1枚1ドルのくじを被験者に渡す。
こののち、双方からくじを買い戻したいと伝えたところ、(1) のほうは9ドルで、(2)のほうは2ドルで売るとの回答でした。
この実験から、人は「自分で決めたもの、選んだもの、採用したものはよいものであると考える」傾向があることがわかりました。
他者が選んだものよりも、自分で選んだもののほうが価値を感じるということです。
これを心理学用語で「コントロールの錯誤」といいます。
この心理法則は接客や交渉に利用されることがあります。
たとえば、「これが絶対にお勧めです」というトークよりも、「どちらが良いですか?」「どちらがお好きでしょう?」と、相手に選ばせたほうがより購買への意欲が高まります。
飲食店でお客様を席に誘導する際にも、「こちらの席とあちら の席が空いております。どちらがよろしいですか?」と相手に好みの場所を決めたもらったほうが満足度は高まります。
ところで選択肢の数についても心理法則があります。
よく知られているのが「極端の回避性」とか「松竹梅の法則」といわれるものです。
人は選択肢が3つあった場合、真ん中を選ぶという心理です。
具材が似たような弁当で松2,000 円、竹1,500円、梅1,000円の3つの価格帯があるとき、多くの場合、真ん中の竹1,500円を選びがちになります。
これは「高いと贅沢だし、安いと貧相に見えるから」という気持ちになるからだといわれます。
「極端の回避性」を仕事などで応用する場合に注意したいのが、選択肢を3つに限定することです。
4つ以上だと判断に迷い、その場で決断することができなくなります。
また2つだと、安い価格にお得感を感じてしまい、高いほうが売れ残る確率が高まってしまいます。
よって、最善の営業トークは「3つの価格帯をご用意しました。どれがよろしいでしょうか?」とすることで、いちばん売りたいものを真ん中の価格帯の設定することです。
いかがでしょうか。
人は自分で決めたもの、選んだものはよいと考える傾向があります。
お客様に選択肢を示し、決めてもらうようにしましょう。