香川県ネット・ゲーム規制条例への考察
- 2020.03.26
香川県議会は3月18日に開いた定例議会で、子どものネット・ゲーム使用を制限する「ネット・ゲーム依存症対策条例案」を賛成多数で可決しました。
「ネット・ゲーム依存症対策条例」は全国初のゲーム依存症に特化した条例として、4月1日に施行する見通しです。
これに対し、香川県知事も県議会の決定に理解を示しており、再議を求めるつもりはない考えを明らかにしました。
「ネット・ゲーム依存症対策条例」が発案された根拠はWHOが「ゲーム障害」を疾病に認定したことが背景にあります。
条例の素案には、特に、終わりがなく射幸性が高いオンラインゲームを規制するためのものだと記載されています。
■科学的根拠
決定的な科学的根拠はないようです。
WHOが疾病に認定した背景には、樋口進という医師がゲーム障害への研究費の拡大を提言したことに端を発し、かなりのロビー活動があったようで、アメリカの反対を押し切って認定されています。
2013年に「インターネットゲーム障害」としてアメリカ精神医学会が発表したことが始まりのようですが、この「インターネットゲーム障害」は「今後の研究のための病態」で、公式の精神疾患として採用するためには証拠が不十分と判定されています。
つまり、政治的な側面が強い決定ということです。
最近のWHOの判断を見ると、お金でどうとでもなる機関というのは火を見るより明らかです。
■規制するものと、しないものの判断
例えば、ランニングには依存性があり、高確率で怪我をします。
18歳未満であっても、女性であれば生理が止まってしまう位まで競技のために減量することもあります。
しかし、1日1時間と決められることはありません。
同様に、野球はどうでしょうか。
サッカーは?
規制するものと、しないものにはイメージが大いに関係することがお分かりいただけると思います。
ゲームは今や職業になり得る活動です。
ゲームだけが規制される為には明らかな根拠が必要ですが、先述したように科学的根拠は薄いため、単に18歳未満の方の活動を制限するためだけの条例になってしまいます。
つまり、公権力等による侵害行為として憲法の人権規定に抵触する可能性が高いです。
このように理詰めで考えれば、おかしな条例だということは、すぐに気付けるはずです。
それでも、条例を推し進めることができたのは、権力のある人物の個人的な感情に起因することが容易に推察できます。
各々の家庭で決めるべきこと、という以上の感想が湧いてこない残念な条例ですね。