メキシカンマフィアが信仰する「サンタ・ムエルテ」
- 2022.08.03
サンタ・ムエルテは主に、メキシコなどで信仰されている宗教で、麻薬カルテルやマフィアなどからも、強い信仰を集めています。
あらゆる願いを叶える存在として信じられ、悪意の願いすらも聞き届けられるとして、貧困層の一般市民から犯罪者に至るまで様々な社会階層の人々に信仰は普及しています。
このことから麻薬カルテルやマフィアからの信仰が厚い、というわけです。
メキシコカトリック教会から悪魔崇拝として非難を受けていますし、メキシコ内務省はサンタ・ムエルテ信仰を非合法化しましたが、焼け石に水で、信者たちの多くがこの信仰をカトリック信仰の一部であると主張し、カトリック信仰とサンタ・ムエルテ崇拝を掛け持ちする者も多いそうです。
研究者も麻薬業者がサンタ・ムエルテ信仰を隠れ蓑にすることはあっても「サンタ・ムエルテ信仰は麻薬業者のカルトではない」と言及していることから、単なるカルト、という訳でもなさそうです。
サンタ・ムエルテの起源については、メキシコ先住民文化に起源を求める説をはじめとして、様々な主張がなされていますが、詳しいことは殆ど不明とされています。
サンタ・ムエルテ崇拝は20世紀まで秘密とされ、祈りと儀式は信者の家庭内で行われてきました。
21世紀初頭から、特にメキシコシティにおいて、エンリケタ・ロメロという信者が2001年に礼拝所を設置した後、崇拝がより一般的になりました。
サンタ・ムエルテの信者の数は、過去10年から20年の間に急速に増加し、メキシコ、アメリカ合衆国、そして中央アメリカの一部で推定1000万~2000万人にもなっています。
ここまで急速に広まった理由として、メキシコ周辺の死と隣り合わせの日常がカトリックの教えでは救えないレベルに達してしまっているということが考えられます。
カトリックは基本的に罪の許しを請うものです。
自分自身が到底許されることのない罪を犯したと考える人達の心の拠り所として、サンタ・ムエルテが爆発的に信仰を集めているのかも知れません。
ただ、サンタ・ムエルテを信仰する人達が「生贄」と称して殺害事件を起こすようなことも起きており、手放しに推奨されるような宗教ではないことも事実です。
ちなみに、サンタ・ムエルテ信仰の教義には「生贄」や「生き血」を捧げるといった要素は皆無だそうです。
このように信仰する人それぞれが教義の勝手な解釈をはじめており、今後注視する必要のある宗教ではないでしょうか。