ほんの少しの周波数のズレが良い音を生み出す
- 2022.09.02
ピアノは内部にある弦をハンマーで打って音を出す楽器ですが、大部分は2~3本の弦を同時に打って音を出しています。
イタリアのハープシコードという楽器の製作者クリストフォリによってピアノが初めてつくられたのは、1709年のこと。
その当時から、音量を大きくするために複弦や三つ弦で音を出すようになっていました。
ところが、複弦や三つ弦の周波数をぴったり合わせるのは、世界的に最高水準の腕をもつ調律師でも難しく、ごくわずかですがミスチューニングが出てしまうそうです。
しかし、機械でぴったり三本の周波数を合わせた音と聞き比べる調査を行なったところ、ミスチューニングのある音のほうが好まれるという結果が出たそうです。
思いがけない音の差が思いがけない音の効果を生み出すようですが、どう周波数をずらせばどうなるということはまだ分かっていません。
しかし、余韻の響き具合に関係していることは確かです。
ピアノの音は、初めに打ったときの強い音と、その後、弦が振動する弱い余韻からできていますが、余韻を響かせるときに、微妙にずれた周波数で振動する弦同士が互いに作用して、思いがけない効果を生むと考えられます。
音量を大きくしようとして複弦にしたのが、音質の点でもよい結果をもたらしていたのです。