子どもが産まれにくい土地
- 2022.09.03
日本には4000メートルを超える高山がないためか、高山病はあまり身近な症状とはいえないのかもしれません。
高山病は酸素不足から起こるもので、主な症状は、頭痛、めまい、息切れなど。
ひどくなると意識障害までもたらします。
また、長く高地に暮らせば、不妊症をももたらすのです。
16世紀の半ば頃、アメリカ大陸に渡ったスペイン人の一部が、高度4000メートルのポトシという土地に入植したときのことです。
開拓民にとっては、人手を増やすという意味でも、子どもは大切です。
そして、やっと最初の子が誕生したのが、何と入植して53年も経ってからだったというのです。
原因として考えられたのは、酸素の減少や気圧の低さが、生殖に関係するホルモンの分泌を減少させるなど生殖機能が低下すること、それに、女性の胎盤が高地で胎児を育てられるようにつくられていないために流産や死産になる、という点です。
4000メートル以上の環境に定着するには、半世紀以上もの歳月が必要だったのです。
なお日本人は、高度1500メートルくらいまでは、体にそう大きな変化は見られませんが、それ以上になると、1000メートルごとに、体に取り込める酸素の最大量が平均10%ほど減少するといわれています。