ざっくりカースト制度を解説
- 2022.09.15
インドのカースト制度は、インドの政治史とヒンドゥー教に深く根づいた社会的差別構造です。
各部から4つのカーストが生まれたといいます。
ヒンドゥー教によると、 ブラフマン神は粘土から巨大な原人を創造すると、 その原人の体の口からはバラモン (祭司) が、腕からはクシャトリヤ (王侯・武人) 、腿からヴァイシャ (地主・商人) が、 足からはシュードラ (職人・奴隷) が生まれたそうな。
後世になって第五のカーストであるダリット( 「踏みつけられた者」の意)が出現し、人間の排泄物の処理などを課せられたといいます。
どのカーストに属するかは生まれで決まるが、 これはカルマの概念に基づいています。
現世で善行を積めば、来世は上位カーストに生まれ変われ、逆に悪行を重ねれば下位カーストに生まれ変わります。
生まれたカーストは生涯変えることができず、そこで耐えなくてはならない苦難は神からの試練と見なされています。
また、カーストと肌の色には緩い相関関係があります。
昔から、色白のインド人は、色の黒いインド人よりカーストが上だと信じられていました。
しかし、今は昔ほど相関関係はありません。
さらに、前述の5つの大きなカーストのほか、数百のサブカーストがインド全土にあります。
このサブカーストは、具体的な職業・居住地・家系などによって細かく分けられています。
都市では多様なカーストが一緒に暮らし、生きていくため経済的に持ちつ持たれつの関係を築いていますが、遠く離れた農村部に住むカーストの中には、孤立した民族集団と言っていいような人々もいます。
異なるカースト間の結婚は、カースト間の差に関係なく昔から非常に少なかったが、近年はやや増加傾向にあるそうです。
カーストには、ほかにも数々の社会的・宗教的意味があります。
上位の4カーストは「清浄」と考えられていますが、ダリットは「不浄」と見なされています。
この考え方のため、ダリットには数々の規則が課され、例えば行く先々で鈴を鳴らし、他の人に自分が近づいていくことを知らせなくてはならなりませんでした。
上位の3カースト バラモン、クシャトリヤ、ヴァイシャーは、再生族と呼ばれています。
彼らは8歳から12歳のあいだに(年齢はカーストによって異なる) 成人し、再生したと見なされます。
この再生により、ヒンドゥー教の祭祀を完全に実施することができます。
インド政府は、過去の差別待遇への補償として、留保制度と呼ばれる仕組みを導入しています。
これはアメリカのアファーマティヴ・アクション (マイノリティー優遇措置)に似ていますが、こちらの方が法律ではっきりと明文化されています。
留保の指定を受けた職種は採用数をカーストごとに一定数ずつ割り当てなくてはなりません。