親ザルに育てられなかった子ザルは「大人」になれない
- 2023.02.07
アメリカの動物学者ハーロウが子ザルを使って行なった実験は、そのどれもが人間にも当てはまるのではないかと思われ、興味が尽きません。
実験の一つに5匹の子ザルを親ザルから引き離し、子ザルだけの集団で育てるというのがあります。
子ザルは外見上なんの問題もなく育っているように見えましたが、実は完全ではありませんでした。これらの子ザルはもともと実験用のサルですから、どんどん繁殖してくれるのがいちばんいいわけですが、何不自由ない環境だったにもかかわらず繁殖しなかったのです。
1匹も性行為ができませんでした。
親ザルに育てられないと、外見は大人になっても、性的に成熟しなかったわけです。
また、ハーロウは別の実験で、3匹の子ザルのグループに人形の親ザル(乳首には哺乳ビンがセットしてある)を与えておいたところ、数匹はちゃんと性行為ができるサルに成長することができたということです。
しかし、子ザルを産んでもこれら数匹の親ザルはどう育てたらいいのかわからず、赤ちゃんザルをいじめ抜いたのです。
この2つから推測できるのは、親の愛情がまったくないか、欠けていると、子どもは心身ともに一人前になれないということです。