「かみそり」はじめて物語
- 2023.02.10
「一回使えば捨ててしまうようなものを発明したらどうだ。そうすれば、客は何度でも買いにくる」と雇い主にいわれた40歳のアメリカ人セールスマン、キング・キャンプ・ジレット。彼は四六時中、頭の片隅で何かいいアイディアはないかと考えていました。
1895年、セールスの旅先でひげそり用のかみそりを研いでいたジレットに、妙案が浮かびました。
「なんでこんな厚い刃にして、一回一回研がなければならないんだ? 薄い鋼鉄にして安くあげれば、使い捨てにできる!」
彼は「うれしさのあまり、鏡の前で有頂天になった」と夫人に手紙を書いています。
しかし、そのうれしさも束の間でした。
当時は、鋼鉄をそれほど薄く延ばせる圧延機がなかったのです。
彼は6年もの間、工夫に工夫を重ねました。
そして1901年、エレベーターの押しボタンを考案したウィリアム・ニッカーソンを呼び入れ、アメリカン・セーフティ・レーザー株式会社を設立しました。
ニッカーソンは、1902年までに技術上の問題をすべてクリアし、1904年には9万個のかみそりを売りました。
今では安全かみそりと名づけられていますが、発明当時のジレットはひげそりの安全性を改良することなど、考えていなかったようです。