光源氏の「本名」
- 2023.02.21
日本を代表する古典文学の1つ『源氏物語』の作者といえば、いうまでもなく紫式部ですよね。
でも、この呼び名、本名ではありません。
父親の藤原為時の役職である「式部」と「源氏物語』の登場人物、紫の上の「紫」 を合わせた名といわれています(清少納言も同じく父親の清原元輔の役職、少納言を使った呼び名です)。
そもそも、平安時代、本名はあまり他人に知らせるものではなかったのです。
特に女性の本名は、母親と夫くらいしか知らず、父親でも娘の実名を知らないことがあったとか。
ですから、作者の紫式部だけでなく、彼女が書いた『源氏物語』の登場人物もニックネームだらけなのです。
そもそも、 主人公の光源氏からして、「光り輝くほど美しい源氏の人」という意味のニックネームで、本名は不明。
母親の桐壺更衣も、妻の葵の上も、息子の夕霧もぜんぶニックネーム。
「源氏物語」には約430人もの登場人物がいますが、本名で呼ばれる人物はたった6人しかいないそうです。
この『源氏物語』で用いられた美しいニックネームは「源氏名」として、大奥に仕える女性の呼び名などに使われ、現在では、水商売で働く女性がお店で使う呼び名などへと引き継がれているのです。