もともと屋外で使われていた「家電」はこれ
- 2023.04.03
今では当たり前のように使っている「家電」も、発明当初は家で使うものでなかった、という面白い話があります。
濾過機のついた電気掃除機は、1901年にイギリス人技師ヒューバート・ブースが考案したもの。
それ以前は、じゅうたんのほこり取りはやっかいな仕事でした。
当時すでに、電動ではありませんがじゅうたん用の掃除機が普及しており、ほこりを風で飛ばす方法と、ふいご(空気ポンプ)をまわしてほこりを吸入する二つのタイプがありました。
原理的には、ただほこりを舞い上がらせるだけの前者より後者のほうがずっと優れているのですが、吸入タイプには、ほこりを濾過する方法に問題がありました。
後者は水で濾過する方法を採っていたのですが、かなり大がかりなのです。
ほこりを吸い取るだけでも、ふいごをまわす者とじゅうたんに掃除機を転がす者の二人の召使いが必要だというのに、これ以上大がかりなものとなれば、普通の家庭ではとても使えるようなものではなくなってしまいます。
そこで実用的な掃除機を発明したのが、橋の設計技師ヒューバート・ブース。
彼がロンドンのセントパンクラス駅の前を通りかかると、小型電気モーターを使った最新式掃除機のデモンストレーションが行なわれていました。
この掃除機は列車の車室用のもので、ほこりを吹き飛ばすタイプでした。
「ほこりは吸い取ったほうがいいんじゃないかい」と彼が尋ねると、「それはそうだが、ほこりの濾過がうまくいかなくて、とても実用にならない」という返事でした。
彼は、家に帰るとじゅうたんの上にかがみ、ハンカチを口に当てて思いっきり息を吸い込んでみました。
すると、ほこりがハンカチにつきます。
それで、彼は布で濾過することを思いつきました。
今の私たちにすれば、布でこして取るなんて誰でも考えつきそうなことですが、当時としては素晴らしいひらめきだったようです。