ざっくりラッダイトとはなにか
- 2023.05.18
ラッダイト主義とは、科学技術に対する激しい反感のことで、その名は、19世紀のイギリスで新たな工場制機械工業に生活を脅かされて不満を抱き、機械の破壊運動を実施した繊維労働者たちに由来します。
この本来のラッダイト運動はたちまち鎮圧されましたが、新たな科学的進歩に対する恐怖と不信はその後も政治に影響を与え続け、現在でもコンピューターから遺伝子組み換え食品まで、さまざまな問題をめぐる議論を左右しています。
そもそもラッダイトという名称は、ネッド・ラッドという実在したかどうか不明の人物から取られたものです。
言い伝えによると、ラッドは1770年代末に、ある住宅に押し入って発明されて間もない靴下編み機を2台破壊したそうです。
当時は靴下編み機のせいで繊維労働者が失業しているとされていたのですね。
これが実際に起きた出来事だったのかどうかはさておき、「ここにラッドが来たに違いない」というフレーズは、イギリスの工場で最新式の機械が破壊されているのが発見されたときに繰り返される決まり文句になりました。
ネッドを「ラッド王」に祭り上げていた繊維労働者の一団は、1812年までに、イギリス中で靴下編み機などの織機を壊し始めていました。
最初の組織的なラッダイト運動は1811年に起こり、この暴動を鎮圧するため兵士2500人が派遣されました。
その直後に「機械破壊」は法律で死罪と決められた(1813年のヨークでは、ある裁判で、この法律を破ったとして17人が絞首刑になりました)。
当初のラッダイト運動は徐々に下火になりましたが、「ラッダイト」という言葉は政治用語のひとつとなり、テクノロジーを容赦なく攻撃する反対派を指すのに使われるようになりました。