タナトスとは
- 2023.07.06
タナトス(Thanatos)は、ギリシャ神話における死の神であり、精神分析学のフロイト派の心理学においても重要な概念として取り上げられています。
ギリシャ神話では、タナトスはエレボス(闇の神)とニクス(夜の女神)の子とされています。
彼は美しい若者の姿を持ち、死者を運ぶ役割を担っていました。
タナトスは生命と死の境界を司る存在であり、死のプロセスや死者の世界に関連する神格として崇められていました。
フロイトの心理学では、タナトスは生命の本能的な欲求として定義されます。
彼はエロス(生命の本能的な愛の欲求)と対照的な概念として提唱されました。
タナトスの欲求は、個体が生命の苦痛や苦悩からの解放を求める傾向を表しています。
これは死への本能的な傾向や自己破壊的な要素を指し示すものであり、生と死の間の矛盾や葛藤を反映しています。
タナトスは、簡単に一言で言えば死ぬことへの誘惑であり、死そのものを神格化した神です。
フロイトによれば、人間の心の中にはエロスとタナトスの二つの本能的な力が存在し、これらは個体の心理的なエネルギーを形成しています。
エロスは生命の保存や繁殖の欲求を表し、個体を結びつける要素とされます。
一方、タナトスは個体の解放や終焉を求める欲求を示し、エネルギーの解放や破壊をもたらす可能性があります。
タナトスの概念は、心理学や哲学の分野で死の意味や個体の存在についての深い洞察をもたらしました。
彼の存在は、生と死の関係や人間の心の複雑さを探求する上で重要な視点となっています。