モンスター・スタディとは
- 2023.07.27
「アイオワ言語療法研究」としても知られるモンスター・スタディは、1930年代にアイオワ大学のウェンデル・ジョンソンとメアリー・チューダーによって行われ、物議を醸した研究です。
この研究の目的は、子どもの吃音の発達と、言語療法に対するさまざまなアプローチの有効性を調査することでした。
要するに吃音は治るのか、についての研究です。
研究者たちは、アイオワ兵士孤児院から22人の孤児を選び、そのうちの何人かはすでに言語障害をもっていましたが、他の子どもたちはそうではありませんでした。
一方は発話を褒めたり励ましたりするポジティブ・スピーチ・セラピーを受け、もう一方はネガティブ・スピーチ・セラピー(「正しく喋れないうちは人前で話すな」など)を受けました。
結果は、どちらのグループにも良い結果はありませんでした。
むしろ、ネガティブな教育を受けた子供たちは、内気になったり短気になったりと性格形成の上でもダメージを受けました。
しかも、最初は発話に問題のなかった子供にまで吃音症が現れはじめたのです。
否定的なセラピーは子どもたちに深刻な心理的影響を及ぼし、そのうちの何人かは言語障害や心理的問題を発症し、それは研究終了後も長く続きました。
この実験は、適切なインフォームド・コンセントもなく、起こりうる結果を理解することもなく、子どもたちが有害な心理的操作を受けたとして、後に倫理的違反として激しく批判されました。
2001年、アメリカ言語聴覚学会は、モンスター・スタディの非倫理的な性質について正式に謝罪し、今後同様の虐待が行われないよう、人体実験の倫理指針が大幅に強化された、とのことです。