意外と知らないエイズ否認主義とは

2023.11.24

意外と知らないエイズ否認主義とは

エイズ否認主義は、後天性免疫不全症候群（AIDS、エイズ）の原因がヒト免疫不全ウイルス（HIV）以外にあると主張する科学者たちの考え方を指す言葉です。
この考え方には、ウイルスの存在自体を否認する者や、AIDSの原因はHIVではなく娯楽薬の使用、栄養失調、衛生状態の悪さ、抗レトロウイルス薬の副作用などにあると主張する者がいます。
しかし、HIVがAIDSを引き起こすという証拠は科学的に揺るぎないものとされています。

エイズ否認主義は、「反科学運動の中で最も声高い」とされ、否認という心理的な防御機能が根底にあると考えられています。
否認主義は、受け入れがたい苦しみに直面した人々が、信じがたい現実を拒絶する心理状態に付け込むもので、これにより病気と向き合うことが困難になることが指摘されています。
特にエイズに関しては、アメリカやアフリカで大きな害をもたらしているとされています。

具体的な例として、エイズ否認主義に共感した南アフリカのタボ・ムベキ元大統領は、2000年にエイズ諮問委員会に否認主義の学者を加えました。
その結果、保健相は抗レトロウイルス薬を毒物とみなし、エイズ治療に使用しない方針を採ったため、ビタミン剤などの似非科学的な治療法が推奨されました。
ムベキがエイズ否認主義に傾斜した理由は、「エイズはアフリカへの偏見だ」という彼自身の考えに合致していたためです。
この結果、南アフリカでは多くのエイズ関連の死亡や新規HIV感染が多く発生しています。

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