お客様の心理に働きかける販促方法
- 2019.12.10
心理学を学ばないでも、自然に心理学の理論で説明できる上手な販売技術をもっている人に出会ったりすることがあります。
これはそのことを実証するような女性店員さんの話です。
ある都市の海産物や名産品が販売されている市場に行きました。
その市場の奥まったところに干物やおつまみ類を販売しているお店がありました。
店頭に並べられていた干物を覗き込んでいたら、横から年配の女性店員さんが近づいてきて、「これ、食べてみて!」と言いながら、一口大の干物を差し出しました。
それを口に入れると、女性店員は「おいしいでしょ。それ、よく売れてるんです」と言うと「今食べてるのがコレ。○○円」と袋を差し出しました。
値段が案外安かったことも あり、すぐに買うことに決めました。
すると女性店員さんは「これもね、おいしくて人気あるんです」と言って別の試食品を差し出しました。
それも食べました。
「これもちょうだい」とその干物が入った袋を手に取りました。
はじめに勧められたものよりも価格は高めでした。
この女性店員は自分では意識してないと思いますが、お客様の正面に立たずに横から近づくことで威圧感を感じさせません。
正対すると売る側と買う側という関係になりますが、横に立つことで買う側は買わせられるという緊張感がなくなります。
そして、試食により「返報性」が働きます。
ただであげれば、その好意に報いようとする心理理論です。
さらに、この女性店員の秀逸なところは最初に提示した商品の値段が手ごろだったことです。
それを安いと感じ、あっさりと購入を決めたときにすかさず、はじめの商品よりも少し値段が高い商品を勧めたことです。
これは、相手が受け入れやすいものから提案する心理テクニックの「フット・イン・ザ・ドア」です。
このように正面ではなく横に並ぶと緊張感が和らぎます。
ただであげるとその恩に報いようと思い、はじめに受け入れやすいものから勧めると承諾しやすいです。
せひ、その場に応じた販売心理術を考えてみましょう。