「水道水に塩素を入れない」 ヨーロッパのこだわり
- 2022.09.27
飲み水について、アメリカでは、たっぷり塩素を入れて安心できる水をつくるという考え方が基本にあります。
しかし、ヨーロッパはまったく逆。
塩素などの薬品で処理することは、それだけリスクが伴うので、できるだけ自然に近い形で飲み水を確保しようと考えています。
その方法の第一は、塩素消毒をしなくてすむ良質の原水を確保すること。
たとえば、オーストリアのウィーンでは、目の前に豊かに流れるドナウ川を使わずに、何百キロも離れたアルプスの泉水を引いてきています。
それだけでなく、ミュンヘンやパリなどは、水源の周りを保護地区として、泉水の汚染の防止も図っているのです。
良質な水が確保できない場合は、長時間かけて砂の層で原水を浄化する緩速濾過方式が取られます。
たとえ、急速濾過方式を取る場合でも、 沈殿池での時間を十分に取ったり、オゾン処理を強化するなど、上水への塩素の注入量をできるだけ減らす努力がされています。
日本では、塩素で殺菌をするから飲めるのだ、という理屈ですが、ヨーロッパではその常識は通用しないのです。