ホタルの光が緑色になったのは、遺伝子のコピーエラー
- 2023.06.07
風のない日暮れどきに点滅しながらふわりふわりと飛び交うホタルは、日本では平安貴族の歌にもよく登場してきました。
そんなホタルが緑の光を発しはじめたのは、人間が誕生するよりもはるかに古い時期のことで、なんと恐竜がいた白亜紀にまでさかのぼります。
ホタルの発光に関する研究を行っている中部大学の研究チームの発表によると、ホタルの先祖はさらに昔から存在したのだが、発光能力を持ったのは約1億500年前だといいます。
脂肪酸代謝酵素が細胞分裂でどんどんコピーされていくなかで、エラーを起こし突然変異、発光酵素ルシフェラーゼに進化しました。
そこからホタルの発光が始まったのです。
しかし、なぜホタルは光を放つようになったのでしょうか。
よくプロポーズや繁殖のためだといわれますが、どうやらそれだけではなさそうです。
なぜなら、ホタルは水の中にいる卵のときから一生を通じて光っています。
繁殖のためなら、 光るのは成虫になってからでもいいはずで、魚やザリガニなどの捕食者から種を守るためなのではないかというのが有力な説となっています。
じつはホタルは毒を持っていて、食べると死に至るほどではないが味は悪いらしいです。
不味いものがわかりやすく光っていると、捕食者に「光っているものは不味い」と認識させることができます。
いわば、威嚇のために光るようになったのではないかというのです。
そんな思惑があったかどうかはわかりませんが、ホタルが1億年以上も種をつないできたのは事実です。
ちなみに、日本で見られるホタルの光は黄緑色ですが、世界には黄色やオレンジ色に光るホタルもいます。
白亜紀のホタルは濃い緑だったそうですよ。