リトル・アルバート実験
- 2023.08.02
この実験の目的は、古典的条件付けによって乳児に恐怖を条件付けることができるかどうかを調べることでした。
ワトソンと同僚のロザリー・レイナーは、アルバートという生後11ヶ月の男の子を実験に使いました。
当初、アルバートは白い実験用ネズミや他の類似物に対して恐怖を示しませんでした。
実験にはいくつかの段階がありました。
1.ベースライン観察
ワトソンとレイナーは、白いネズミ、ウサギ、犬、マスクなど様々な刺激に対するアルバートの反応を観察しました。アルバートはこれらの物体に対して恐怖心を示しませんでした。
2.条件づけ
条件付けの段階で、ワトソンとレイナーは、白いネズミの提示と大きな突然の音(鉄の棒をハンマーで叩いて作った音)を対にしました。白いネズミを見せるのと同時に大きな音を鳴らしたのです。
この組み合わせは、ラットと恐ろしい騒音との間に関連性を持たせることを意図していました。
3.恐怖反応
数回の実験の後、アルバートは、大きな音がなくても、白いラットだけを見せられると恐怖と苦痛を示すようになりました。4.一般化
恐怖反応は、他の動物や似た特徴を持つ物体など、白ネズミに似た他のものでも同様に恐怖と苦痛をもたらしました。パブロフの犬の実験を、人間の、それも赤ん坊でやってしまった訳です。
リトル・アルバート実験の倫理的な意味合いは、長年にわたって激しく批判されてきました。
この研究では、子供の扱いやアルバートの両親からのインフォームド・コンセントの欠如が懸念されました。
さらに、条件付けがアルバートの情緒的幸福に及ぼす長期的な影響は、決して十分に研究されなかったのです。
このような倫理的懸念と、この実験が物議を醸したことから、現代の倫理指針では、人間を対象とした研究、特に幼児や子供を対象とした研究の実施に厳しい制限が設けられています。