ローゼンハン実験
- 2023.10.06
この実験は1969年から1972年の間に行われ、ローゼンハン教授は8人の「疑似患者(精神疾患を持たない人)」を12の精神病院に送り、病院スタッフに精神疾患を持たない人だという事実を明かさずに実験を行いました。
実験の方法は、疑似患者が様々な精神病院で評価を受けるために幻覚を装って入院し、しかし入院後は通常通りに行動するというものでした。
結果として、ローゼンハンを含む各疑似患者は全員精神障害と診断され、抗精神病薬を処方されました。
この実験の結果は、精神医学の診断の妥当性を深刻に疑問視させるものとなり、1973年に「狂気の場所での正気の存在 (On Being Sane in Insane Places)」というタイトルでScience誌に発表されました。
この実験は、誤って強制的に入院させられる可能性についての議論を提起し、精神医学診断の重要かつ影響力のある批判と見なされています。
実験の結果は、精神医学のコミュニティと広く社会に大きな影響を与え、精神医学の信頼性に対する世界中の信頼を損なうものとなりました。
しかし、この実験に対する反論もあり、実験の結論に対して精神医学を擁護する反応がありました。
擁護する意見の中で指摘されているのは、精神医学診断は大部分が患者の経験の報告に依存しており、その存在を偽ることが精神医学診断の問題を示すものではない、というものでした。
ローゼンハン実験は、今でも専門家の間で色々な意見がある実験です。
この実験は、精神医学診断がいつも信頼できるものではなく、状況や文化によって異なる可能性があることを示唆しています。
一部の専門家は、この実験が精神病院の恐ろしい状況を明らかにして良い影響を与えたと考えています。
一方、他の専門家たちは実験の方法や結果に疑問を持っており、実験が何も証明していないとさえ言っています。
実験の結果は、精神医学診断の方法を変えるきっかけとなったとも言われていますが、実験の正確さに対する疑念も指摘されています。
また、一部の研究者や著者は、ローゼンハン実験の詳細や結果を再評価し、実験の有効性や影響についてさらに分析しています。
これらの意見と反応は、ローゼンハン実験が精神医学と心理学の分野で今でも重要で議論の余地があるトピックであることを示しています。