ざっくり現実的に「どこでもドア」を考える
- 2022.08.31
「ドラえもん」の四次元ポケットから取り出される秘密道具の中でも、一、二を争う人気の道具が「どこでもドア」ですよね。
扉をくぐるだけで好きなところに行くことができれば、移動という概念は変わり、距離や国境は形骸化するかもしれないし、世界はもっとダイナミックに枠組みを変えることでしょう。
しかし、宇宙物理学の考え方に照らし合わせれば、どこでもドアは現在のところ実現不可能とのことです。
ドアを挟んで別の空間が存在しているということから、どこでもドアは宇宙物理学でいうワームホールだと考えることができます。
ワームホールとは、時空のある一点から別の一点に直結しているトンネルのような空間領域のことです。
理論上、その両端にはすべての物質を吸い込むブラックホールと、すべての物質を吐き出すホワイトホールが存在することになります。
重要なのは現在、存在が確認されているのはブラックホールだけということです。
ワームホールとホワイトホールはあくまでも理論上の存在にすぎないのです。
さらに、ブラックホールの中では途方もない重力がかかります。
人間が入ったら体をめちゃくちゃに引きちぎられてしまうほどで、とても無事に通り抜けられるものではありません。
もっといえば、ブラックホールについては未解明のことのほうが多いです。
特異点の問題や、そもそもブラックホールの形も諸説あります。
残念ですが、現在の時点では、どこでもドアをつくることはできないと言わざるを得ません。
未来の科学技術で、ワームホールとホワイトホールが発見され、ブラックホールの謎も解き明かされれば、どこでもドアのような空間の行き来が可能になるかもしれません。
そのときまでは、漫画や映画の中で夢を膨らませるしかないでしょう。