1匹で30人を殺せるフグの毒
- 2023.02.02
あるフグ料理屋のおかみさんに聞いた話。
店に出始めてしばらくして緊張がほぐれてきた頃、ついそこにあるフグを口に入れたところ、毒が残ったままだった。
しばらくすると、力が抜け腰が立たない。
意識ははっきりしているがどうにもならず、あれほど怖いことはなかった。
だから、うちの店のフグは二度とそんなことがないよう、ちゃんと調理してありますよ、と話のオチがつくわけですが、フグの毒はあたると本当に怖いのです。
江戸時代には毒の原理がよくわかっていなかったので、しばしばあたったようです。
フグ鍋のことを「あたると死ぬ」という意味で鉄砲鍋と言っていたそうです。
今でもフグ屋の暖簾に「鉄砲」と大きく書いてあるのを見かけます。
フグの毒は体内で製造されるという説と、エサが原因とする説がありますが、研究によると後者のほうが有力になっています。
どちらにせよ、その毒性(テトロドトキシン)は強力、わずか0.5ミリグラムで人間30人を殺してしまう力があります。
それでも人気があるのはおいしいからですが、毒を除く技術と調理師の管理システムが確立されたせいでしょう。
ただし、素人料理は厳禁です。