使い捨てカイロの仕組み
- 2023.02.09
四十余年前までは、平べったいステンレスの容器に揮発油を入れて使う白金カイロが全盛でした。
それが今や、便利で長持ちする使い捨てカイロが主流で、格安で一般に普及しています。
この使い捨てカイロは、鉄が錆びるときに出す酸化熱を利用したもの。
鉄が自然に錆びるときは非常にゆっくりなので、熱を感じることはありませんが、錆びるスピードを速める工夫をしたことで、熱を出す商品が生まれたというわけです。
中袋に入っているのは、鉄の粉、食塩水をしみ込ませた石の粉、活性炭、木の粉など。
中袋は、たくさんの孔のあいた不織布でできていて、外袋を破ると空気が入り、鉄の粉が空気中の酸素と結合して、錆びが始まります。
食塩水は反応を進めるために働き、活性炭は空気中の酸素を吸い取って、袋の中の酸素の濃度を高める働きをしています。
また、木の粉は、保水剤の役目と、鉄粉がべとつくのを防ぐ役目。
こうしたことすべてが、錆びるスピードを速める工夫というわけなのですが、忘れてならないのは鉄を粉にしたこと。
小さい粒にするほど、酸素に触れる面積は格段に大きくなるからです。
さらに、揉むことで成分が一気に混ざり、錆びるスピードもグンと速まるという仕組み。
なにもかも無駄がありません。
なお、途中で止めたいときは、ビニール袋などに入れて密封し、空気に触れさせないようにすればいいそうです。