洗濯洗剤は多すぎても少なすぎてもダメ
- 2023.03.04
洗濯は家庭における家事の中で最も時間と手間がかかるものです。
洗濯用品は少しでも家事の負担を減らしたい消費者のニーズにこたえて進歩してきました。
家電量販店などで売られている家庭用の洗濯機は、縦型かドラム式かだけでなく、アイロン送風機能やドライクリーニング適用の衣類を洗えるもの、除菌など、その機能もバラエティーに富んだ製品が並んでいます。
同様に、洗濯に使われる洗濯洗剤も、がんこな汚れを落とすのは当たり前で、除菌、消臭、香りが長く続くなど、どれを選べばいいのか迷うほどのラインナップです。
しかし、洗濯の最大の目的である「汚れを落とす」という視点で考えると、どんな洗剤を選んだとしても大切なのは適量を使用するということだったりします。
泥汚れなど、ひどく汚れたものを洗濯するときに、つい洗剤の量を多めに入れてしまうという人も多いだろう。しかし、洗剤の量は少なくても多くてもダメで、まさに使用する洗濯機に合わせた適量がベストなのです。
その理由を理解するためには、洗濯洗剤の成分の界面活性剤が、汚れを落とすしくみを知る必要があります。
界面活性剤は親水性の高い「親水基」と、油となじむ「親油基」という成分で構成されています。
親水基は水を取り込んで衣類の繊維の隙間に入り込み、それぞれの作用で衣類についた汚れを引きはがし、親油基は洗濯物についた汚れの油分に取りつきます。
界面活性剤は一定の濃度になると親油基同士がくっついて、より油汚れを取り込みやすい塊になる性質があるのですが、洗剤の量が少なすぎるとこの機能が働かないため、汚れが落ちにくくなるのです。
面白いのは、界面活性剤の働きが高まるのは一定の濃度までで、それ以上になると洗浄能力は上がらなくなります。
つまり、適量を超えていくら洗剤の量を増やしても汚れが落ちやすくなることはないのです。
それどころか、洗剤が多くなったことですすぎに時間がかかり、結果的に無駄が多くなってしまいます。
まさに、過ぎたるは猶及ばざるが如しなのが洗濯洗剤の量なのです。