無観客で開催された大相撲
- 2023.03.08
大相撲の歴史の中で、たった1度だけ、観客が1人もいない中で開催された場所があります。
それは、1945(昭和20)年の夏場所。
そうです。
ときは第二次大戦の真っ最中。
空襲の危険がある中、旧両国国技館において、6月7日から7日間にわたって、一般入非公開で開催されたのです。
取り組みはラジオで実況中継されましたが、国内での放送はなし。
つまり、日本の国民は誰も聴くことはできません。
この実況は、海外にのみ、録音したものが配信されました。
なぜ、こんなことをしたのでしょう?
実は、海外に向けて「日本はまだ、大相撲の場所を開くくらい余裕があるぞ」とアピールするための開催だったのです。
観客ゼロの中で取り組む力士たちの思いはいかなるものだったのでしょう。
戦争という狂気が生み出した、大相撲の哀しい一幕です。
ちなみに、2011(平成2)年5月には、観客は入れたが無料の「技量審査場所」が行なわれました。
これは、同年に発覚した八百長事件を受けて、信頼回復まで本場所の開催を見送ったために、このような形で開催したのですね。