黄金比の有効性
- 2019.04.23
私たちが何かを美しいと認識するとき、一体何が基準になっているのでしょうか。
個人的主観であることは言うまでもないのですが、絵画や建築、美人とされている人の顔には客観的基準があるとされています。
黄金比とは、長方形であれば「1:1.618」という数学的に導き出された比率、古代ギリシアから伝わる、いわば美しさを定義する基準ですが、近年、様々なデザイナー・研究者から疑問の声が上がっています。
有名なところでは、パルテノン神殿やピラミッドは黄金比に従って作られていると言われていましたが、調べてみると、かなり疑わしいことが分かっています。
美しい人の顔の代表例としてオードリー・ヘップバーンが有名なのですが、そもそも顔を真正面から見ることは少ないですし、時代・環境・文化によって人の顔の美しさは変化します。
次に人間も黄金比でできていると唱える方もいるのですが、人間は複雑すぎるのでどうとでも数字を当てはめることができてしまいます。
全員体型は違いますし…
しかし、自然界には黄金比をもった植物や動物が多く存在するそうです。
オウム貝・トンボ・ひまわりが有名です。
私はオウム貝もトンボもデザインが美しいと思わないのですが…
■「1 : 1.618」という比率は美しいと感じる人が多いのか
図形を使ったアンケートによると、確かに黄金比の図形を美しいと感じる人が多かったようです。
下記の論文が論拠となるようですが、数字的には誤差の範囲と捉えるべきでしょう。
参考:http://www.nagano-c.ed.jp/seiho/intro/risuka/2008/2008-04.pdf
では、私個人は黄金比をデザインに取り入れないのかというと、取り入れています。
判断基準として使うためです。
デザインにはこれと言ったルールがないため、悩んだ時に判断基準があると便利だからです。
いかがでしょうか。
こういった曖昧な価値基準は、学んだ上で使う、または、学んだ上で否定するという態度が正しいと思います。
歴史や宗教学と同じ領域にあるものではないでしょうか。