手術に使う「溶ける糸」の成分とは
- 2023.04.05
人はもちろん、ペットの手術でも切開した部分を縫い合わせるときなどには手術用の糸が使われます。
医療ドラマでも、研修医が手術に備えて繰り返し糸結びの練習をするシーンが出てくるほどです。
ところで、こうした糸には 「溶ける糸」と呼ばれ、手術後に抜糸の必要がないタイプのものがあります。
あとから抜糸しにくい部位の手術など、 部位や内容によってはこの溶けるタイプの糸が選ばれることがあります。
そこで俄然気になるのが、糸はなぜ溶けて、その後どうなってしまうかでしょう。
溶ける糸は「吸収糸」ともいい、分解されてその名のとおり体に吸収されるものです。
日本では1980年から使われるようになったといいます。
この吸収糸の原料には、もちろん体に害のないものが用いられていますが、そのひとつに乳酸があります。
乳酸を主原料としてつくられた糸は、やがて加水分解、つまり体内の水によってしだいに分解されていきます。
この吸収糸には10日ほどで吸収されるものから、3ヵ月以上かかってゆっくりと分解されるものもあるそうです。