「贅沢三昧」の「三昧」とは
- 2023.04.06
私はある時期、 古い映画にハマったことがありました。
ちょうど、世の中にレンタルビデオ店が出始めて、昔の名画や名前しか聞いたことがなかった映画を「ビデオで借りてきて家で観られる」という映画好きには夢のような環境になって、映画三昧におちいったのです(フィクションです)。
さて、この映画三昧というときの「三味」という言葉。
もともとはとても高尚な意味でした。
「三味」という漢字は当て字で、そのルーツはサンスクリット語の「サマーディ」という言葉。
これは、仏教において、精神統一の究極の状態をいう表現で、つまりは、修行や瞑想をする上で、他のものに気移りせず、集中して迷いのない境地に至ることをいった言葉なのです。
それが、「1つのことに集中する」→「そればかりやっている」という意味に変化していき、「贅沢三昧」とか「パチンコ三昧」などのように、どちらかといえば悪い意味で使われるようになってしまったのです。
芥川龍之介の作品に『戯作三昧』という滝沢馬琴を主人公にした作品がありますが、これは晩年の馬琴の心の到達点を描いていて、「三味」という言葉を好意的な意味で使っています。